古い土地

暗い穴

2023年に読む『魔法先生ネギま!』二次創作(前編)

副題:軽く『ネギま』のおすすめSSを紹介するはずがいつの間にかWeb二次創作小説をめぐる三部作になってしかも前後編に分割していた件 前書き きっかけはなんてことなかった。ある日ふと「そういえばこれまで『魔法先生ネギま』(2003-2012年、以下『ネギま…

TSの欲望:エリオット『荒地』と『お兄ちゃんはおしまい!』

「性」は神話の時代から、ずーっと、ずぅーっと、私たちの想像力を駆り立ててきた。

「転生オリ主」の出現――「憑依」と「オリ主」の落ち合うところで/「トリップ夢主」の方へ

追記(2023/4/30):20000文字ほど加筆修正した増補版が以下に掲載されています。 kakuyomu.jp 前書き 「小説家になろう」の「異世界転生」を準備したのは2008-2012年の「二次創作」*1シーンにおいて流行した「転生オリ主」(現実世界からやってきた原作には…

エッセイのためのエスキス(「AIのべりすと」と共に)

χ

エッセイを書こう、と思った。しかし最初の二段落で書くことが無くなった。 二人羽織で文章を書こうと思った。でも人からお題をもらうのは億劫だ。 というわけで「AIのべりすと」にご協力いただいた。 「AIのべりすと」の利用を明記した小説は一次創作(なろ…

なろう批評5:私のお気に入り

今回は私が個人的に気に入った作品たちを一気に紹介する。次のユーザーページを参照*1。 https://mypage.syosetu.com/275205/ ブックマーク「Theta」に入れたものが今回言及するお勧め作品。ブックマーク「Lambda」に入れたものはリマークが必要そうなものの…

2022年のゲーム動画に対するコメント(RTA/TAS/その他)

以前こういう記事を書いていた。 2021年 グリッチこもごも(ゲームのバグ/RTA/TASに関するニュース) - 古い土地 読んでて感心した。一本で網羅されているから常にアンテナを張る必要がなく、自分にとっての当たり率が高い(自分が書いてるので)。この手…

文章に関するいくつかのアイディア

χ

タイトル案 古い名、愛の紛失 傷、いくつかの 転生再び 僕のヒーロー/ファッキンアカデミア ヒーローの研究 注:『緋色の研究』 転生したら「古い土地」だった件

ヨルシカ、YOASOBI、夜に生きるもの(高橋徹也)

奇しくもここに、「夜」「実存」「文学」をテーマとする三組のミュージシャンが揃った*1。 系統図を描くと次のようになる。 セリーヌ『夜の果てへの旅』(1932年) ┃ ┃(実存主義文学のロック化) ┃ 高橋徹也『夜に生きるもの』(1998年) ┃ ┃(ポップ化/サ…

なろう批評4:ギスギスオンライン

今回は『ギスギスオンライン』(2016年)の批評・レビューを行う。おまけとして『不死なるプレイヤーズギルド』(2018年)も紹介する。13000文字あるので気長にお付き合いいただきたい。 批評の文脈、専門用語について不明な点は前回の記事を参照のこと。 な…

詩をよむそれはくるしい 4:天沢退二郎

詩を読みあぐね原稿を三か月放置していたら、期せずして追悼文となってしまった。彼の人と鳥の記憶に捧ぐ。 ……ややや 何たる恥知らず! 「鳥」の字がこんどは「馬」になり変っていく…… ――天沢退二郎「鳥について」(『ノマディズム』)

なろう批評3:ゲーム脳への序/VRMMOの衰退/VRゲームの新潮流

この三か月で読み溜めたなろう作品を紹介し批評し読み替えていくのが「なろう批評」シリーズの目的。シリーズ通して「短評」できていないことに気付き、タイトルを「短評」から「批評」へと変更した。今回のテーマは「ゲーム」「VR」「掲示板」である。 序:…

なろう批評2:「転生」と「転移」について/崩れ去るリアリティ/転生オリ主の遺言

この二か月で読み溜めたなろう作品を紹介し批評し読み替えていくのが「なろう批評」シリーズの目的……なのだが、今回は実作分析を行わず「異世界」「転生」「転移/トリップ/召喚」について考えてみたい。「チート」「主人公最強」「TS/性転換」「奴隷」に…

なろう批評1:「ダンジョン経営」というジャンルについて

この二か月で読み溜めたなろう作品を紹介し批評し読み替えていくのが「なろう批評」シリーズの目的。なろうにおけるミーム汚染から少しでも距離をとるため、なろうに馴染みのない読者を意識しながら書くつもりだ。今回の主題は「迷宮/ダンジョン」である。…

レビュー:Charles Mingus - The Black Saint And The Sinner Lady(黒い聖者と罪ある女)

www.youtube.com 数年ぶりに聞きなおして呆れ果ててしまった。 過度にドラマティック。過度にエモーショナル。過度にロマンティック。 もっと言えば、過度に土臭く、ブラックで、書き譜的で、構成的で、スパニッシュで、チャールズ・ミンガス臭がして、とき…

詩をよむそれはくるしい 3:吉岡実

水中の泡のなかで 桃がゆっくり回転する そのうしろを走るマラソン選手 わ ヴィクトリー ――吉岡実「桃 或はヴィクトリー」

詩をよむそれはくるしい 2:高野喜久雄

……なおも和解か ――高野喜久雄「今日の言葉」

日本近現代詩ミニマル史

ミニマル史とはいえない。小史ぐらい。 国語便覧にも載っているような詩史の整理を行う。詩歌はまったく触ったことがないので記述を省く。

詩をよむそれはくるしい 1:T. S. エリオット『荒地』

『荒地』の原文・和訳からいくつか抜粋して読むつもりだったが、冒頭の七行で力尽きてしまった。できた部分だけ公開する。 四月は残酷極まる月だ リラの花を死んだ土から生み出し 追憶に欲情をかきまぜたり 春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。 冬は人を温…

読書メモ:蓮見重彦『小説から遠く離れて』

「物語は本来小説の父ではないのに、父を僭称している」 https://meigaku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1078&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1

狂える母――オースティン『高慢と偏見』論

結婚はサヴァイヴだ。 序:愉快な仲間たち(作品紹介) 狂える母 ①階級について ②狂気 ③罪と罰の経済 ④家族というコレクティヴ ⑤過剰な自我、卑小な自我 ⑥女たちの共同体

「小説家になろう」フェミニズム批評:週間ランキングから結婚について考える

問:テクスト投稿サイト「小説家になろう」の週間総合ランキング(2022/10/17現在)の20位以内にいくつ「異世界[恋愛]」カテゴリの小説は含まれるか。 答:16個(なお、そのうち12個が「婚約破棄」の要素を持つ)。 https://yomou.syosetu.com/rank/list/t…

空ろなるヒーローたち①:フォークナー『響きと怒り』『アブサロム!』のクエンティン・コンプソン

人間が、意味を求めてしまうことの浅ましさ。意味を求めてしまうことの悲しさ。それらはときに、自殺という形態で現れる。

確率変数の「気持ち悪さ」について(幾何と解析の視点から)

リハビリ用の記事。記事を書くという意味でも数学について書くという意味でも。 統計検定1級に向けて数理統計学を勉強している。 www.kyoritsu-pub.co.jp 久保川『現代数理統計学の基礎』は現代的で大方よく書けている教科書だと思う(なにより演習問題が200…

補篇「声への憧れ」

χ

軽く・軽く・軽く・うわっついて

「生命って負けヒロインだから」

χ

負けヒロインとはなにか。 おれは指を立てて 流れていく巻雲を とめようとしたがだめだつた ――入沢康夫「外出」『夏至の火』より こういうものに違いない。

Analysis of Eric Dolphy ――エリック・ドルフィーの楽理的分析 part 2 〔作曲編〕

じゃあ、行こうか、きみとぼくと、 薄暮が空に広がって 手術台の上の麻酔患者のように見えるとき。 ――T. S. エリオット『J・アルフレッド・プルーフロックの恋歌』(1910-1911) 岩崎訳 我々はそれと知らずに、それを行う ――出展不明 <前| wagaizumo.hatenab…

時オカ日記③(迷いの森 SRM編)

SRM実践第二弾。 2022年2月現在、「時のオカリナ」のぶっ壊れバグSRM(Stale Reference Manipulation)の50%はコキリの森で行われ、残りの50%は迷いの森で行われる。*1 今回は迷いの森で行われる多種多様なSRMを実践してみよう。前回の記事と合わせて時オカ…

時オカ日記 2.5 (All Dungeons と 100% のSRMについて)

SRMを練習するモチベを高めるという個人的動機で中~長時間のSRMカテゴリ「All Dungeons - SRM」「100% - SRM」に出てくるSRMをまとめておく。次回の記事でいくつか実践してみる。 もっと短いSRMカテゴリ「any%」「Defeat Ganon - SRM」「No Wrong Warp - SR…

Analysis of Eric Dolphy ――エリック・ドルフィーの楽理的分析 part 1 〔非・楽理編〕

私たちは二人だつた。私はそれをはつきり言える ――マラルメ「散文」―― *1 序:研究への タイム感覚 音色 結:偽史を編む [reference] 序:研究への ビバップ以降のジャズミュージシャンはみな研究家の側面を持ち合わせている。まず「勉強」しないとジャズは…

時オカ日記②(コキリの森 LightNode SRM編)

前回は基本的なグリッチを履修した。 <前| wagaizumo.hatenablog.com 今回は「無を取得」=SRM(Stale Reference Manipulation)やACE(Arbitrary Code Execution:任意コード実行)を実践してみたいと思う。 発見(2019年10月)以来とんでもないスピードで…