古い土地

暗い穴

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2021/11/25-28:入沢康夫『ネルヴァル覚書』『死者たちの群がる風景』ネルヴァル『火の娘たち』『オーレリア』

前回から引き続きネルヴァルを読む。 wagaizumo.hatenablog.com 2021/11/25 入沢康夫『ネルヴァル覚書』 入沢康夫『ネルヴァル覚書』(1984年、花神社) 詩人の入沢康夫はネルヴァルの研究者としても知られている。修論(1959年)のテーマもネルヴァルだった…

2021/11/24:野崎歓『異邦の香り――ネルヴァル『東方紀行』論』

ジェラール・ド・ネルヴァル(Gérard de Nerval)って誰 今回と次回でネルヴァルについての本を読む。簡単に紹介しよう。 ネルヴァル(1808-1855)はフランス大ロマン派(ユゴー、ラマルチーヌなど)に対して小ロマン派とでもいうべき時期の文学者だ。 本人…

2021/11/22-23:入沢康夫『詩の逆説』『宮沢賢治 プリオシン海岸からの報告』『かつて座亜謙什と名乗った人への九連の散文詩』

wagaizumo.hatenablog.com これの続きとして、入沢康夫の詩論・評論を読む。宮沢賢治との関係から詩作品『かつて座亜謙什と名乗った人への九連の散文詩』について少し論じてみる。 2021/11/22 入沢康夫『詩の逆説』 入沢康夫『詩の逆説』(1973年、サンリオ…

【ポケモンDP】ダイヤモンド・パール(DS日本語初期版ROM)で任意コード実行(ACE)が可能に

前書き(2021/12/31):ポケモングリッチ研究の第一人者デテロニー氏による『ダイパ』ACEの解説記事が公開されました。日本勢が開発した実機セットアップやACEの応用例が十全に取り扱われています。実際にACEで遊びたい方はこちらを参照してください。 detel…

【n回目の革命】「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」で1st サイクルスキップ(=最初の三日間でクリア)が可能に

以下はスピードランナーでもグリッチハンターでもない門外漢の筆者が、自分で理解できる範囲で勝手に解説を抄訳・拙訳したものです。翻訳に許可とれという話だったり理解不足・誤訳で記述に誤りがあったり真似してゲームソフト/ハードが壊れたりしたら、筆者…

2021/11/16-17:ポー/エリザベス・ビショップ/ボードレール (追記:モダンとポストモダン)

2021/11/16 ポー / エリザベス・ビショップ ポーの詩を少し読んだ。 エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe:詩の翻訳と解説 筆者の無知を晒すが、不気味と旋律の詩人にして推理小説の創始者エドガー・アラン・ポー(1809-1849)と「草の葉」の英雄ホイッ…

2021/11/15:シェイクスピア / グロテスク・リアリズム

シェイクスピアのソネットを少し読んだ。 シェイクスピアのソネット Shakespeare's Sonnets Sonnet 018/060/127 の出来が良い。127は菊池成孔が『フランツ・カフカの南アメリカ』で「黒こそ美」と引用しただけのことがある。 154中108を占める(男性の)青年…

Civilization4(Civ4) 小屋OCCのススメ part 3/3 : 自由主義ボーナス、工業化時代以後

前回前々回の続き。大科学者で哲学ジャンプ、83T官吏、117T教育、自由主義活版とオラクル建造が失敗したにしてはかなり頑張っている。しかし悲しいかな、ジャージとユスティという二大ラスボス系宗教国家に囲まれていた。そして全体的にも指導者の配置が悪い…

Civilization4(Civ4)  小屋OCCのススメ part 2/3 : 立地の選定、自由主義まで

前回冒頭のゲーム。こちらが48Tにオラクル哲学が完了する(エリザベスでは殆ど最速に近い)のに対しユスティが47Tにオラクルをとる。世界はいつだってこんなはずじゃないことばっかりだ。 part 1 : Civilization4(Civ4) 小屋OCCのススメ part 1/3 : 小屋OCC…

Civilization4(Civ4)  小屋OCCのススメ part 1/3 : 小屋OCCの戦略デザイン、指導者の選定

以下の文章は個人的なプレイメモをプレイガイドとして整備したものである。本来ならCiv4 wikiに載せるような内容だが、wikiの書式覚えるのが面倒くさいし、プレイレポ映えする試合を記録して書き切るだけの気力が無いし、新規性が微妙なのでここに上げる 故…

「AIのべりすと」に歌詞は書けるか〔高橋徹也編〕

「真っ赤な車」(学習前) クソみたいなj-pop仕草をやめろ [アブスト] 「AIのべりすと」に(筆者が望むレベルの)歌詞は書けない。 はじめに 「AIのべりすと」は少し前から流行っている文章作成支援ツールです。インターネット上の文章を文庫本174万冊分(公…

About これは何?(エスキス)

χ

あの館では、ひとは《利用》とか手段とかの観念を嫌悪し、唾棄し、そうすることでついにはそれらを忘れはてる。それらの観念自体が非倫理的だというので。 ――〔「マルピギー氏の館」のための素描 20 倫理〕 入沢康夫『声なき木鼠の唄』(1971年、青土社) 1…

【楽曲解説】高橋徹也『夜に生きるもの』(コード進行で見る高橋徹也②)

以前、このような記事を書いた。 wagaizumo.hatenablog.com 高橋徹也の楽曲によく現れるコード進行を系統分析し、彼のトレードマークになっている奇妙な和声が具体的に何なのか明らかにした(つもりである)*1。 しかし『コード進行で見る高橋徹也』は長い上…

【楽曲解説】ピチカート・ファイヴ - これは恋ではない

『ベリッシマ』期の小西康陽はどのような実験を行っていたのだろうか? その一例を作曲の視点から明らかにしよう。得られる教訓は次の通り。頻繁に行われる脈絡のない転調という小手先の技巧はしなくてよい。 ピチカート・ファイヴ - これは恋ではない - 動…

入沢康夫論1:導入に代えて――群盲象を撫でる

b 詩は「怒り」です。 ――『現代詩体系』「自作を語る」全文 I 韜晦と偽物の詩人、入沢康夫。 神話と構造の詩人、入沢康夫。 メタポエムと母なき子の詩人。入沢康夫。 匿すことによってますます匿された詩人、入沢康夫。 彼女の住所は 四十番の一だつた 所…

【楽曲解説】John Coltrane - Naima のオリジナル版について

「Naima」はJohn Coltraneがアルバム『Giant Steps』(1960年)で発表した美しいバラードナンバーだ。今では歴としたジャズスタンダードであり、Coltrane本人も手応えを感じていたのか、晩年までたびたび録音を残している*1。 www.youtube.com シンプルなメ…