古い土地

暗い穴

なろう短評1:「ダンジョン経営」というジャンルについて

 

 この二か月で読み溜めたなろう作品を紹介し批評し読み替えていくのが「なろう短評」シリーズの目的。なろうにおけるミーム汚染から少しでも距離をとるため、なろうに馴染みのない読者を意識しながら書くつもりだ。今回の主題は「迷宮/ダンジョン」である。他の主要ミームとして「異世界」「転生」「転移/トリップ」「勇者」「魔王」「奴隷」「ハーレム」「チート」「最強」「冒険者(ギルド)」「悪役令嬢」「内政」「VR」「ゲーム」「勘違い」「TS/性転換」「追放」「婚約破棄」「ざまぁ」などが挙げられる。

 

  • ダンジョンはどこから来たのか(序文)
  • ダンジョン経営系作品の実例
  • ダンジョン経営とシリアス/なろうとシリアス
  • 本文のreference
  • 次回予告
  • 補足:なろう初期の歴史感覚

 

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レビュー:Charles Mingus - The Black Saint And The Sinner Lady(黒い聖者と罪ある女)

 

www.youtube.com

 

 久しぶりに聞きなおして、呆れ果ててしまった。

 過度にドラマティック。過度にエモーショナル。過度にロマンティック。もっと言えば、過度に土臭く、ブラックで、書き譜的で、構成的で、スパニッシュで、チャールズ・ミンガス臭がして、ときどきデューク・エリントンっぽくもなる。

 こんなものが、こんなものが――いつのまにか我が身にひどく沁みついていた。こんなものの過剰さを身体的に消化し、音楽観の奥底に溶かし込んでいた自分の無反省ぶりに私は呆れたのだ。お里が知れる。自らに流れる「血」の猥雑さに気づいてしまって恥ずかしい*1

 エドガー・アラン・ポーなどの南部ロマンス作家が持つ、ときにポルノじみた過剰さ。それを笑う資格など私にはなかった。ロマンス指数でいえば彼らと私はどっこいどっこいである。これからは友達になろう。

*1:追記:何人かに言われたので弁明しておくと、私はいまだにミンガス的なもの、特に『黒い聖者と罪ある女』的なものが大好きである。そういった、愛憎の憎の部分を欠く自身のバランス感覚の欠如恐れ慄いているのだ。ミンガスの下品さに顔をしかめることができない。

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詩をよむそれはくるしい 1:T. S. エリオット『荒地』

 

 

 『荒地』の原文・和訳からいくつか抜粋して読むつもりだったが、冒頭の七行で面倒くさくなってしまった。できた部分だけ公開する。

 

四月は残酷極まる月だ

リラの花を死んだ土から生み出し

追憶に欲情をかきまぜたり

春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。

冬は人を温かくかくまってくれた。

地面を雪で忘却の中で被い

ひらかびた球根で短い生命を養い。

西脇順三郎訳)

 

注:「被い」=「覆い」

 

April is the cruellest month, breeding

Lilacs out of the dead land, mixing

Memory and desire, stirring

Dull roots with spring rain.

Winter kept us warm, covering

Earth in forgetful snow, feeding

A little life with dried tubers.

 

原文:

www.poetryfoundation.org

 

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読書メモ:蓮見重彦『小説から遠く離れて』

 

 

「物語は本来小説の父ではないのに、父を僭称している」

https://meigaku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1078&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1

 

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