古い土地

暗い穴

ξ:文学-詩をよむそれはくるしい

詩をよむそれはくるしい 5:塚本邦雄

塚本邦雄(1920-2008年)は、第二次大戦後の前衛短歌運動の旗手としてよく知られる。 きっかけは、戦後まもなく歌壇・俳壇に対して突きつけられた「第二芸術論」(1946年)だった。これは短歌型文学の前近代性──日本的抒情、表現の狭小、「何を」より「誰が…

詩をよむそれはくるしい 4:天沢退二郎

詩を読みあぐね原稿を三か月放置していたら、期せずして追悼文となってしまった。彼の人と鳥の記憶に捧ぐ。 ……ややや 何たる恥知らず! 「鳥」の字がこんどは「馬」になり変っていく…… ――天沢退二郎「鳥について」(『ノマディズム』)

詩をよむそれはくるしい 3:吉岡実

水中の泡のなかで 桃がゆっくり回転する そのうしろを走るマラソン選手 わ ヴィクトリー ――吉岡実「桃 或はヴィクトリー」

詩をよむそれはくるしい 2:高野喜久雄

……なおも和解か ――高野喜久雄「今日の言葉」

詩をよむそれはくるしい 1:T. S. エリオット『荒地』

『荒地』の原文・和訳からいくつか抜粋して読むつもりだったが、冒頭の七行で力尽きてしまった。できた部分だけ公開する。 四月は残酷極まる月だ リラの花を死んだ土から生み出し 追憶に欲情をかきまぜたり 春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。 冬は人を温…