古い土地

暗い穴

ι:Web小説

なろう批評6:エロ、いくつかの

一番面白い詩より一番面白いポルノの方が面白い、とは誰の言だったか。 ともかく最近は詩とWebポルノ小説を読んでいて、今回はポルノの方で面白かったものを何点か紹介したい。

劇としての(二次創作)

歌は、詩よりもずっと劇に近い。 (サイモン・フリス『サウンドの力』1981年) 全ての詩は劇をめざし、全ての劇は詩をめざす。 (T. S. エリオット『批評選集』1932年) 「劇」に関する2つの言及をきっかけとした、5つの断片・エッセイ。 劇としてのSCP 劇…

補篇:貞操逆転・短歌・その他の観察

A. 一行はミニシアターに入ると、受付の鬼が「バグダッド・カフェあるよ(笑)」と言いました。 エモあるよ(笑)は「もう見飽きたんだよな(笑)」と言いました。 一行はシアターへ入り、バグダッド・カフェを鑑賞しました。 エモあるよ(笑)|惑星ソラリ…

貞操逆転・短歌・その他の観察

1. 貞操逆転 すばらしい あ 鳥だ机を撫でるゆにゔぁーさるの鳥を捨て塔の方へ (31文字に)

HACHIMAN「おれが今日 ここに来たのは……」[このSSの続きを読む]

1:以下、名無しが深夜にお送りします HACHIMAN「 おれが今日 ここに来たのは 偶然が重なった結果というべきで なにも証しがあったからではない ただ毎夕 鳥たちの喃語に耳を傾け 河底をあるく幾千の死馬の群れを率いたおれらであってみれば やはり単なる偶…

日記 最近書いた/読んだ/聴いたもの

最近書いたもの ここ一週間はずっと「小説家になろう」「カクヨム」向けに四万文字の論考を書いていた。 kakuyomu.jp 無から生成したわけではなく、次のブログ記事を下敷きにしている。 「転生オリ主」の出現――「憑依」と「オリ主」の落ち合うところで/「ト…

2023年に読む『魔法先生ネギま!』二次創作(後編)

引き続き『ネギま』の二次創作(からWeb二次創作シーン)について考えよう。 <前| wagaizumo.hatenablog.com コラムC:『ネギま』二次固有の事情 2010-2012年:にじファンの時代 2012年-:ハーメルンの時代 後書き コラムD:いくつかの補足 [reference] …

2023年に読む『魔法先生ネギま!』二次創作(前編)

副題:軽く『ネギま』のおすすめSSを紹介するはずがいつの間にかWeb二次創作小説をめぐる三部作になってしかも前後編に分割していた件 前書き きっかけはなんてことなかった。ある日ふと「そういえばこれまで『魔法先生ネギま』(2003-2012年、以下『ネギま…

TSの欲望:エリオット『荒地』と『お兄ちゃんはおしまい!』

「性」は神話の時代から、ずーっと、ずぅーっと、私たちの想像力を駆り立ててきた。

「転生オリ主」の出現――「憑依」と「オリ主」の落ち合うところで/「トリップ夢主」の方へ

追記(2023/4/30):20000文字ほど加筆修正した増補版が以下に掲載されています。 kakuyomu.jp 前書き 「小説家になろう」の「異世界転生」を準備したのは2008-2012年の「二次創作」*1シーンにおいて流行した「転生オリ主」(現実世界からやってきた原作には…

なろう批評5:私のお気に入り

今回は私が個人的に気に入った作品たちを一気に紹介する。次のユーザーページを参照*1。 https://mypage.syosetu.com/275205/ ブックマーク「Theta」に入れたものが今回言及するお勧め作品。ブックマーク「Lambda」に入れたものはリマークが必要そうなものの…

なろう批評4:ギスギスオンライン

今回は『ギスギスオンライン』(2016年)の批評・レビューを行う。おまけとして『不死なるプレイヤーズギルド』(2018年)も紹介する。13000文字あるので気長にお付き合いいただきたい。 批評の文脈、専門用語について不明な点は前回の記事を参照のこと。 な…

なろう批評3:ゲーム脳への序/VRMMOの衰退/VRゲームの新潮流

この三か月で読み溜めたなろう作品を紹介し批評し読み替えていくのが「なろう批評」シリーズの目的。シリーズ通して「短評」できていないことに気付き、タイトルを「短評」から「批評」へと変更した。今回のテーマは「ゲーム」「VR」「掲示板」である。 序:…

なろう批評2:「転生」と「転移」について/崩れ去るリアリティ/転生オリ主の遺言

この二か月で読み溜めたなろう作品を紹介し批評し読み替えていくのが「なろう批評」シリーズの目的……なのだが、今回は実作分析を行わず「異世界」「転生」「転移/トリップ/召喚」について考えてみたい。「チート」「主人公最強」「TS/性転換」「奴隷」に…

なろう批評1:「ダンジョン経営」というジャンルについて

この二か月で読み溜めたなろう作品を紹介し批評し読み替えていくのが「なろう批評」シリーズの目的。なろうにおけるミーム汚染から少しでも距離をとるため、なろうに馴染みのない読者を意識しながら書くつもりだ。今回の主題は「迷宮/ダンジョン」である。…

「小説家になろう」フェミニズム批評:週間ランキングから結婚について考える

問:テクスト投稿サイト「小説家になろう」の週間総合ランキング(2022/10/17現在)の20位以内にいくつ「異世界[恋愛]」カテゴリの小説は含まれるか。 答:16個(なお、そのうち12個が「婚約破棄」の要素を持つ)。 https://yomou.syosetu.com/rank/list/t…

異世界論――「異世界転生」論と「小説家になろう」論のための助走

以下は「なろう」論をきっかけに書いた8000文字の放棄稿である。論が言語や論理の解体(destruction)の方へと進み、コントロール不能に陥った。論としては成立していないが何らかのオブジェとしては成立していると判断したので、ここに残す。 手が届かない …

ある序論:「小説家になろう」と「ヒップホップ」の類似

「小説家になろう」。1次創作と2次創作の合間を浮動するテキスト投稿サイト(この性質を「1.5次創作」と呼んでおこう)。横への参照(同時代の作品間参照)を本質とするメタゲーム(ゲーム性はランキングや評価ポイントなどの数値によって担保される。全員が…