古い土地

暗い穴

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2021年 グリッチこもごも(ゲームのバグ/RTA/TASに関するニュース)

本稿は時オカ・ムジュラSRM/ACEの記事を書くために取材する(有識者のTwitterを2019年10月まで遡って数千件全部見る)過程で成立した。 今年はここら辺が面白かった、という私信でもある。10月以降の記述が厚いのは筆者の記憶の限界を示す。 [別記事で扱った…

【時のオカリナ・ムジュラの仮面】SRM/ACE以降の ゼルダ RTA 史  part 2/2:2020年3月 ~ 2021年

2020年 3 - 12月 2020/5/26 どこでもドア(Farore's Wind Entrance Index SRM)が発明される 2020/9/01 GC版による時のオカリナ any%の更新 2020/11/25 時のオカリナ 100% TASが公開 3時間切り(2:57:59) 2020/12/12 ムジュラの仮面100% TAS(with ACE)が…

【時のオカリナ・ムジュラの仮面】SRM/ACE 以降の ゼルダ RTA 史 part 1/2:(2019年10月)~2020年2月

はじめに N64の3Dゼルダといえば「時のオカリナ」および「ムジュラの仮面」。今更語るまでもない名作で、スピードランも古くから盛んに行われている。 これら2作を2019年11月頃から徹底的にぶっ壊したのがSRM(Stale Reference Manipulation)およびACE(Arbi…

【ダクソ】ダークソウル全ボス撃破RTA の 2020-21 年における進展、およびルート比較

この記事でダクソ「無印版」と呼んでいるのは、PS3版のWindows/Steamへの移植として海外で発売された『Prepare To Die Edition(PTDE)』のこと。日本では『with ARTORIAS OF THE ABYSS EDITION』として発売されている。 過去にはSteamでリマスター版への無…

入沢康夫論2-3:『わが出雲』と世界への帰還の許容(下)

とりあえず提出するが、後で手直しするかもしれない。今は草稿の全容を見通せない。盲いた唖はその表面を撫でるだけ。 <前| wagaizumo.hatenablog.com 入沢康夫『漂ふ舟 わが地獄くだり』(1994年、思潮社) 浮きつつ遠く永劫の、魂まぎ人が帰ってくる。 帰…

入沢康夫論2-2:『わが出雲』と世界への帰還の許容(中)

<前| wagaizumo.hatenablog.com 入沢康夫『わが出雲・わが鎮魂』(1968年、思潮社) 幼き日の友。己と瓜二つの友。その「あくがれ出た魂」を鎮めるため出雲の国をさまよった「ぼく」。紆余曲折の末に「小さな光」を「血も/凍るおもいで 両のて/のひらに そ…

入沢康夫論2-1:『わが出雲』と世界への帰還の許容(上)

入沢康夫『わが出雲・わが鎮魂』(1968年、思潮社) 導入:異説・出雲神話 オペレーション 自注の例 余録1:いくつかの植字的方法 余録2:『わが出雲・わが鎮魂』「あとがき」全文引用 [reference] 導入:異説・出雲神話 この節は以前内々に作ったテキスト…

T.S.エリオット『荒地』の歴史的受容について

以下の文章は入沢康夫『わが出雲・わが鎮魂』についてのテキストからエリオット『荒地』に関する部分を分離させたものである。独立でも読めるが、重心がそこに寄っていることを注意しておく。 T.S.エリオット(著)岩崎宗治(訳)『荒地』(2010年、岩波書店…

異世界論――「異世界転生」論と「小説家になろう」論のための助走

以下は「なろう」論をきっかけに書いた8000文字の放棄稿である。論が言語や論理の解体(destruction)の方へと進み、コントロール不能に陥った。論としては成立していないが何らかのオブジェとしては成立していると判断したので、ここに残す。 手が届かない …

ある序論:「小説家になろう」と「ヒップホップ」の類似

「小説家になろう」。1次創作と2次創作の合間を浮動するテキスト投稿サイト(この性質を「1.5次創作」と呼んでおこう)。横への参照(同時代の作品間参照)を本質とするメタゲーム(ゲーム性はランキングや評価ポイントなどの数値によって担保される。全員が…

入沢康夫論3 – 2:牛の首をめぐるパラノイアックな断章(後編)

前回から引き続き入沢康夫『牛の首のある三十の情景』(1979年、書肆山田)を読んでいく。 wagaizumo.hatenablog.com [記法] 「牛の首のあるXつの情景( y)」を「X(- y)」と略記することがある。 「「牛の首のある八つの情景」のための八つの下図」は「八…

入沢康夫論3 – 1:牛の首をめぐるパラノイアックな断章(前編)

入沢康夫『牛の首のある三十の情景』(1979年、書肆山田) 今回は入沢康夫の代表作の一つ『牛の首のある三十の情景』について、極めてパラノイアックな読解を試みる。 『詩の逆説』(1973年、サンリオ出版)で入沢康夫が述べていたように、詩について「愚者…

ステファン・マラルメ雑考:とある入門手続

ステファン・マラルメって誰? 日本語で読んでみる 岩波文庫『マラルメ詩集』 『マラルメ全集』より 『文学空間』 [その他reference] ステファン・マラルメって誰? 必要なら前段階として次の記事を参照: 2021/11/16-17:ポー/エリザベス・ビショップ/ボード…

2021/11/29, 12/3:入沢康夫『詩の構造についての覚え書』堀江敏幸『おぱらばん』

2021/11/29 入沢康夫『詩の構造についての覚え書』 入沢康夫『詩の構造についての覚え書』(1968年、思潮社) 試論・評論をいくつか読んで直観したけど、この人めっぽう気さくではないな。詩人入沢康夫に対する断定を避けるなら、実作者ボルヘスに対して作品…

マリオストーリー(N64)とペーパーマリオ(GC)における任意コード実行/任意スクリプト実行について

2021年の2月下旬、2つのペーパーマリオシリーズで相次いで任意コード実行(ACE)/任意スクリプト実行(ASE)が達成された。今更ながらこのことについて書いてみようと思う。 以下はスピードランナーでもグリッチハンターでもない門外漢の筆者が、自分で理解…