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Civilization4(Civ4)  小屋OCCのススメ part 1/3 : 小屋OCCの戦略デザイン、指導者の選定

 

 以下の文章は個人的なプレイメモをプレイガイドとして整備したものである。本来ならCiv4 wikiに載せるような内容だが、wikiの書式覚えるのが面倒くさいし、プレイレポ映えする試合を記録して書き切るだけの気力が無いし、新規性が微妙なのでここに上げる

 故ペリク鯖『OCC金融大陸』の著者に捧ぐ。この記事シリーズはかのプレイレポの縮小再生産・10年越しの追検証にすぎない。

https://w.atwiki.jp/civilization/pages/2121.html

 

 

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理想的すぎて唖然とした立地。平原金3(うち川沿い2)・川沿いモロコシ・氾濫原7・森林8。

クイズ:この立地だと何Tにオラクル哲学できる?

 

part 1 : ここ

part 2 : Civilization4(Civ4) 小屋OCCのススメ part 2/3 : 立地の選定、自由主義まで - 古い土地

part 3 : Civilization4(Civ4) 小屋OCCのススメ part 3/3 : 自由主義ボーナス、工業化時代以後 - 古い土地

 

 

 

 

 

はじめに

 

OCCについて

 

 OCC(一都市チャレンジ)、それは間違いなく天帝で宇宙船勝利する最も労力の少ない方法です。Civ4初心者でも、ルーティーン化された内政を覚え、あとは外交の実力と運があれば(複数都市プレイに比べて)容易に天帝で勝つことができます。

 

 戦法が決め打ちで、一都市しか管理せず、その内政も固定化されているということは、一面では柔軟性を欠き負けやすい傾向にあります。決め打ちがある程度関わる敗因として例えば「蛮族」「色付き蛮族」「必須遺産を取られる」「自由主義とれない」「宣戦依頼通らない」「銅・アルミニウム確保できない」などが挙げられます。

 天帝で勝つにはいずれ特化戦略が必要になるとはいえ、最初から特化しているのと盤面を見て特化するのでは勝率に違いが出るのも当然でしょう。中世・ルネサンス以後に自力武力的介入の手段を持たないこと(武力的勝利を選択肢として持てないこと)は覆しようのないOCCのデメリットです。*1

 

 他方、civ4高難易度における粋たる外交を楽しむことに集中でき、一回のプレイ時間が短く済む分試行回数を稼ぎやすいことは大きな利点です。戦争プレイが好みでない、非戦外交が好きだという高難易度プレイヤーにとってOCCはもはや縛りプレイではありません。また天帝・不死での戦争勝利は外交が不可欠なため、戦争好みのプレイヤーにも外交練習としてOCCはお勧めできます。

 個人的には「小さくて完璧な王国をつくる」という点が好みです。極めて優れた初期立地だけで宇宙まで逃げてしまうのが戦略デザインとして美しい。筆者は初期拡張したくなさすぎてOCCばっかりやっています。

 

 天帝は常にそうですが、OCCは特に運の要素が深く絡みます。楽しいところ(自由主義周辺で得た技術ボーナスで世界戦争を引き起こす)に行くまで結構な運が必要です。運が無ければ試行回数で補うほかありません。*2

 

 運の要素を減らしゲーム性を良くする(ストレスを減らす・易化する)ための追加オプションとして

  • 蛮族なし:序盤の遺産建造を邪魔されない分勝率が増しストレスが減ります
  • AIの数+1:OCCだと自国が小国になる分AIの領土が通常プレイよりも大きくなりがちなので、それを是正します(今度は逆に通常プレイより小さくなってしまいますが)。加えてAI国の数を増やすことで外交オプションが増えて展開が面白くなり、また勝ちやすくなります。

があります。この記事で取り上げる試合は試行回数を稼ぐためほぼ全て蛮族なしの設定が入っています。*3

 

 

付記:

 OCCには外交勝利の選択肢もあることを一応述べておきます。あまりにナチュラルに省いていたので。以降、本稿ではもっぱらOCC宇宙勝利の方法、特に天帝での立ち回りを論じます。

 以下スクショの試合は全て天帝パンゲア標準(場合によっては指導者+1、蛮族無し)です。

 

 

 

小屋OCCのススメ

 

 OCCの基本形といえばピラミッドとアレクサンドリア図書館を建てる専門家経済です。これについては例えば次を参照。

・『天帝OCCで逝く、闘神ブレンヌスは宇宙船の夢を見た』

プレイレポ/BtS/天帝ブレヌスOCC挑戦 - Civilization4(Civ4 シヴィライゼーション4) 攻略Wiki

 

 ピラアレク型のOCCをやっていて個人的に思うのは、「自分が文学を研究中に法律一番乗りされ、そのまま哲学か官吏もとられ、自由主義レースに負ける/勝っても大した技術アドバンテージが得られない展開が多い」ということです。なにか戦略デザインが間違っている気がします。

 これは天帝で自由主義レースに進むとき、美学ルートを選ぶか法律ルートを選ぶかという問題とパラレルです。10年以上前から知られていると思いますが、(大理石が無い場合に限定すると)法律ルートの方がアドバンテージが得られるケースが多いです。

 

 しかし、専門家経済OCCで法律ルートなんて可能なのでしょうか? 筆者も何回か試行錯誤してみましたが、ピラがあるなら(大理石が無くとも)アレクも建てた方が絶対ペイします。やはりアレクは強力な遺産です。そしてまた、ピラミッドは専門家経済に不可欠です。

 

 では、どうすればいいのか?

 

 

 我々は内政帝の着想を法律ルートという観点から辿りました。かの人が開拓したピラアレク抜き法律ルートのOCC、小屋OCCの方法は上記の問題を解決します。

 

・『OCC金融大陸』(バックアップ)

https://w.atwiki.jp/civilization/pages/2121.html

 

 

 戦略の骨子と理想的なタイムスケジュールは以下の通り

  • 60T(1600 BC)前後に法律ビーカー研究&ラクル哲学ジャンプで宗教2つを独占しつつ法律ルートを塞ぎます。以降、法律を可能な限り秘匿することでAIの研究を大幅に遅らせます
  • 85T(750 BC)前後に官吏を取得。官僚制のコイン増加ボーナスを小屋に活かします。この瞬間だけGNPがAIを越え、以降は紀元前にして逃げ切りが始まります。勝負に勝てるだけのビーカーが小屋から算出されます。
  • 115T(1 AD)前後に教育取得。法律を塞いでいたので天帝なら自由主義レースに負けることは無いでしょう*4。通常のOCC同様、技術アドバンテージを元手に外交介入していきます。
  • 生物学後は国立公園と余剰パンで専門家を雇用し、小屋のコイン/専門家のビーカー/専門家定住のハイブリッド経済で回します。良立地では宇宙船建造直前に1300ビーカー/Tと、宇宙勝利には十分な研究速度を出すことができます。

 

 

 小屋OCCをピラアレクOCCと比較しましょう。

  1. ラクル哲学ジャンプが可能な上振れ立地を再生成するのが少し辛くなります(←→ピラアレクOCCは最低限戦える立地はそこそこ出るものの、上振れらしい上振れ土地はそうありません)
  2. ラクル哲学ジャンプが決まると・・・気持ちがいい!
  3. 官吏~生物学間は偉人を輩出しないので無宗教が選択可能です(←→ピラアレク型は平和主義が無いと研究速度が不足します。外交状況に左右される運要素)
  4. ラクル哲学ジャンプに成功すると、ピラアレク型OCCよりも官吏、教育の取得が平均的に10T前倒しになります(オラクル法律はピラアレクとほぼ同速?)
  5. 無宗教選択可能性、研究速度、法律塞ぎなどの要因により、60T - 120Tの生存率、自由主義取得率は高まります。これは勝率に直結する事実です。
  6. 自由主義~生物学間のビーカー出力はピラアレク型より低め。生物学取得時点で同速か遅くなってしまいます。とはいえ、ゲームはすでに自身の研究速度向上からAIの研究遅延に移り変わっています。
  7. 生物学以後、これまで専門家雇用を控えていたおかげで偉人を出す伸び代があります。勝った試合で偉人輩出数を見ると、平均的にピラアレク型が25人、小屋型が20人でした。

 

 

 ピラアレク型OCCの「ピラもアレクも建ったけどぬるーっと自由主義レースに負ける」という嫌な負け方は、オラクル哲学ではありません。ラクル法律だとあるかもしれませんが。

 60T以後の勝率だけ見ても小屋OCCはお勧めです。OCCやりたいけどピラアレクはさすがに飽きたという時の気分転換にもなります。

 

 オラクル哲学を狙うと再生成が多くなりますが、これは「リセットポイントをどこに設定するか」という問題に思えます。

 ピラアレク型ではピラ・アレクの建造、道教の創始、平和主義を活用できる外交状況といった運要素を中盤まで比較的分散させています。小屋OCCではそれを序盤、特に再生成と言う形で最序盤に集中させます。勝つことだけ考えてもこっちの方が効率的で、作業としてもストレスが少ない。そして筆者は初期立地選定作業がかなり好きな方です。*5

 

 

 

指導者の選定

 

 小屋OCC最強議論します。

 

S+ : エリザベス(金融哲学)

S : ワイナ・カパック(金融勤労) マンサ・ムサ(金融宗教)

 

 小屋OCC初心者の方はエリザベスで戦いましょう。研究が一番速くて、一番強い。

 

 以下、指導者短観。どれも天帝小屋OCCで勝てることは確認済み。

  1. エリザベス(漁業採鉱):序盤から終盤まで金融も哲学もシナジーを持ちながら機能する、小屋OCCのために設定された最強の指導者。エリザベスだけはオラクル法律でも戦えるでしょう。
  2. カパック(神秘農業):UUもUBも優秀。オラクル哲学するだけなら一番楽な指導者(その後がちょっと辛いか?)。オラクル以降勤労が活躍する機会は国家遺産群(おおよそ建設順にOX・グローブ座・民族叙事詩・国立公園・製鉄所)と、建設するなら後半の電気系遺産。
  3. マンサ(車輪採鉱):宗教は外交志向であり、OCCで弱いわけありません。小屋OCCにおける哲学志向と宗教志向を比較すると、流石に哲学の方が総合的に強くなりますが、宗教志向でのみ開く勝ち筋もあるやもしれません。プレイヤーがマンサを選ぶ一番の利点(欠点?)はマンサがAIとして出てこないことです。

 

 金融指導者だと他にハンニバル(金融カリスマ)、パカル(金融拡張)がいます。小屋OCCではオラクル建造中人口6にする暇がなく幸福は世襲政治で解決するので、カリスマが活躍する機会は少なそうです。拡張は基本的に氾濫原立地を狙う小屋OCCだと相性が良さそうです。しかし、衛生資源を輸入できれば解決するし、哲学勤労宗教と比べれば一段劣るよう見えます。

 

 哲学指導者でもちょっと考えてみたのですが、哲学非金融小屋OCCは勤労志向ピラアレク型OCCと同等かそれ以上の厳しさじゃないかと想像します。非金だと貴金属が2タイルなければオラクル哲学もできませんし、妥協してオラクル法律するとよほど敵AIに恵まれなければ勝てないでしょう。それなら素直にピラアレク型でやった方が良いだろうと。まあ、どんなOCCも敵AIと地政学的条件に恵まれなければ勝てませんが。

 

 

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*1:しかし、筆者の乏しい経験上「この立地でOCCでなければ武力介入してまだ勝ち筋があったのに」ということはほとんどないような気がします。

*2:Civ4の電子ドラッグとしての魔力はここにあり、2021年にはもはやその魔法が解かれているので正確に批評できる・・・と思いきや、ソシャゲが人口に膾炙した今、むしろ世界はCiv4的なもので埋め尽くされている? いや流石にゲーム性が違い過ぎますが、ソシャゲの上位勢ってCiv4天帝家康でも十分やっていける気合あると思うんですよね。モンテスマみたいなかわいいキャラも出てくるし

*3:筆者はOCCにおける蛮族のアンチです。通常プレイでは初期拡張と蛮族対策はトレードオフの関係になっており、ゲーム性に貢献します。しかし、OCCという決め打ち戦略では蛮族は本当に、本当にゲーム性を下げることしかしません。蛮族と戦って得るものがないから楽しくないんですね。単に序盤のメインメニューバック率を1.5~3倍上げるだけで、しかも再生成と違い38T以後に来るので回転効率も落ます。そこに愛はありません。なので思い切って存在を抹消しました。おすすめです

*4:シドOCC宇宙勝利って0.1%でも可能性あるんですかね

*5:暗黙下に蛮族無しオプションを仮定した議論かもしれないので注意。良立地が蛮族に蹂躙されると涙が出てくる。