古い土地

暗い穴

時オカ日記③(迷いの森 SRM編)

 

 SRM実践第二弾。

 2022年2月現在、「時のオカリナ」のぶっ壊れバグSRM(Stale Reference Manipulation)の50%はコキリの森で行われ、残りの50%は迷いの森で行われる。*1

 今回は迷いの森で行われる多種多様なSRMを実践してみよう。前回の記事と合わせて時オカの主要なSRMはほぼ紹介できたと思う。

 

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wagaizumo.hatenablog.com

 

 比較すると

  • コキリの森LNSRM:ファイルネームを変えるだけで同じセットアップから様々な効果が得られること、ゲーム開始直後に行えることが利点。1回のセットアップが長く様々な技術を要求されること、1つのセーブデータで1つの効果しか得られないことが欠点。
  • 迷いの森SRM:各SRMごとにセットアップ・角度調整が違うこと、ある程度アイテムを要することが欠点(最速でコキリの森タイトルファイルSRM後)。ファイルネームに関係なく行えることが利点。

 

 

[専門家向けの注意]

 複数セットアップがある場合はいくつか提示するか一番簡単なものだけ紹介した。必ずしも最新や最速でないことに注意。

 

 

  • 始める前に
    • [バージョンの話]
    • [必須事項]
    • [推奨事項]
    • [目標設定]
  • 準備1:基礎知識
    • ヒープ調整の基礎(迷いの森編)
    • ESSターンについて
    • アイテムの補充(練習用)
  • 準備2:無の取得法
    • 余談:押し出し高速移動
  • Age Change SRM
    • [前提]
    • [ヒープ調整]
    • [角度調整]
    • 性質
    • 補足:Current Cutscene SRM
  • Quest Status SRM
    • [前提]
    • [ヒープ調整]
    • [角度調整]
  • Item Slot SRM (Inventory SRM)
    • [前提]
    • [ヒープ調整]
    • [角度調整]
    • 補足:Butterfly Rewards SRM
  • その他の魚利用SRM
  • F boots SRM
    • [前提]
    • [ヒープ調整]
    • [角度調整]
    • 性質
  • Grotto SRM (adult)
    • [前提]
    • [ヒープ調整]
    • [位置調整]
    • 性質(グリッチエントランス)
  • Grotto SRM (child)
    • [前提]
    • [ヒープ調整]
    • [位置調整]
  • 付録:Switch NSO時のオカリナSRMの現状

 

 

*1:実際のところ5~10%ぐらいはゾーラ川も関わる。今回紹介する中ではButterfly SRMやF Boots SRMなど。SRM/ACE最初期(~2019年12月)と比べゴロンシティはほとんど見なくなった。

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時オカ日記 2.5 (All Dungeons と 100% のSRMについて)

 

 SRMを練習するモチベを高めるという個人的動機で中~長時間のSRMカテゴリ「All Dungeons - SRM」「100% - SRM」に出てくるSRMをまとめておく。次回の記事でいくつか実践してみる。

 

 もっと短いSRMカテゴリ「any%」「Defeat Ganon - SRM」「No Wrong Warp - SRM」は今だとコキリの森におけるLightNode SRM一発で済む。これについては前回の記事を参照。

時オカ日記②(コキリの森 LightNode SRM編) - 古い土地

 

 

  • All Dungeons - SRM
    • [reference]
    • 出てくるSRM
  • 100% - SRM
    • [reference]
    • 出てくるSRM

 

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Analysis of Eric Dolphy ――エリック・ドルフィーの楽理的分析 part 1 〔非・楽理編〕

 

私たちは二人だつた。私はそれをはつきり言える

――マラルメ「散文」――

 

*1

 

  • 序:研究への
  • タイム感覚
  • 音色
  • 結:偽史を編む
  • [reference]

 

 

 

序:研究への

 

 ビバップ以降のジャズミュージシャンはみな研究家の側面を持ち合わせている。まず「勉強」しないとジャズはできない。

 もちろん、アドリブの勉強をすればそれだけで良い音楽を作れるわけではない。1940-60年代は不思議な時代で音韻情報の進化と音楽の変化がなぜか同期していた(少なくともそう錯覚させられた)。その魔法が解けて久しい。

 

 研究はたいてい一人で、あるいは内輪で行われる。研究の総量に比して研究書のような形で世に出回る割合は想像以上に少ないのだろう。不特定多数に伝えるのはそれだけで余計な労力を要するし、「自分が頑張って研究した結果に金だけ払ってタダ乗りされるのは許せない」という感情もある。ジャズはかつてコンペティションの音楽であったし、ミュージシャンはお互い潜在的な商売敵であるから。

 とはいえインターネット以後はぼちぼち趣味人・業界人による情報公開が進んでいる。

 

 

 この記事シリーズの主題はエリック・ドルフィーEric Dolphyである。1928年生まれ1964年没。アルトサックス・フルート・バスクラリネット木管マルチプレイヤーでそのスタイルから独自の地位を築いていた。

 しかし今「Eric Dolphy Analysis」で検索してもロクな情報が出てこない([reference]参照)。ハードバップとフリー・モード以降のジャズに挟まれた過渡期の音楽家を分析することには独特の面白さがあり、言語化すべきことも多いと思うのだが。

 この状況に一石を投じるのが本稿の目的である。

 

 

 筆者は一時期ドルフィーのトランスクリプションと向き合い、アドリブに関して次のような音韻的特徴を抽出した。全て彼の演奏が「Out」に聞こえる所以である。*2

 採譜と分析を復習せずに見切り発車で書き始めたので、後に修正する可能性在り。

 

  • チャーリー・パーカーCharlie Parker)以来のビバップ的なクロマティック・アプローチ(chromatic approach)によるスケール外の音の挿入。
  • 通常のメロディラインから一部オクターブを上下させることによる跳躍の創出。また素のラインからして跳躍が大きめ・多めである
  • ハードバップ的なコードスケール(横の流れ)の上でビバップ的な縦の動き・疑似的なコードの提示をする。結果としてテンションを含む和音がメロディに浮かび上がる。
  • 著しいモードチェンジリディアン・クロマティック・コンセプトの影響?
  • 著しいリハーモナイズ。代理コード(4度圏で対角線上にあるコード)をm7などでも平気で使う。

 

 作曲に近い方面で言えば次のような特徴がある

 

  • ドミナントセブンスの探究:裏コード、様々なコードスケール、avoidとされる11thやmaj7thの使用
  • ブルースの研究
  • 現代音楽における12音技法の研究

 

 上記のような定量的分析をpart 2以降で行っていく予定である。

 

 part 1では(採譜に情報が残らない)印象批評的な側面を片付けておきたい。ミュージシャン論というよりはプレイヤー論である。これがまたエリック・ドルフィーの特徴づけには必要不可欠なのだ。

 あるいは「音響の時代」である現代においてドルフィーの可食部はここだけかもしれない。

 

 

 今回出てくる音源のうちspotifyにあるものは次のプレイリストへまとめた。

open.spotify.com

 

 

*1:このエピグラフ入沢康夫『古い土地』「死んだ男」からの孫引き(おそらく入沢の私訳)。仏題「PROSE」に対して「散文」を当てたのは自然な選択に思えるが、実は誤訳に近い。というのも「PROSE」はフランス象徴詩人の散文詩でなく極めて技巧的な定型韻文詩だから。

渡辺守章訳『マラルメ詩集』では「PROSE」を「続誦」と訳し、カトリックの聖歌の一種「sequentia」に起源を求めている。メリスマ(1音節に対して複数の音符を当てること)の強いアレルヤ唱に挿入する形(トロープス)で散文詩形式の説明的歌詞が加えられた、というのがマラルメの時代にもあったであろう俗説。9世紀頃に始まり12世紀には韻を踏むようになっている。

この先「死んだ男」しか登場しない。「二人」であることもない。ミューズは存在しない。

*2:筆者にこう読めるというだけで、当時彼が運用していたアドリブ生成理論はまた違うだろう。チャーリー・パーカーの研究で有名な濱瀬元彦も散々採譜をこねくり回したあと「パーカーがここまで複雑な機構で考えていたはずがない。もっと肉体的原理があったはずだ」(要約)と述べている

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時オカ日記②(コキリの森 LightNode SRM編)

 

 前回は基本的なグリッチを履修した。

 

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 今回は「無を取得」=SRM(Stale Reference Manipulation)ACE(Arbitrary Code Execution:任意コード実行)を実践してみたいと思う。

 

 発見(2019年10月)以来とんでもないスピードで発展したSRM。ここ1年の間にも着実にアップデートが進められた。

 2022年2月現在では「Any %」の節で紹介するLightNode SRM(2021年3月発見。以下LNSRMとも記す)のセットアップを1つ覚えるだけで

  • クレジットワープ(Any%)
  • ガノン城崩壊後ワープ(Defeat Ganon)
  • 死亡後タイトル画面でセーブし大人リンク+タイトルファイル読み込み(No WW)
  • 子供リンクでタイトルファイル読み込み
  • デバッグメニュー呼び出し
  • アーウィン呼び出し

が可能になっている。初心者がコキリの森でのSRMを習得するまで5-10時間かかるだろうが*1、その価値はありそうだ。

 これでも以前よりは簡易化しているし使用可能なハードも多い。SRMに挑戦するなら割と今がおすすめ。speedrun.comのメインカテゴリでいうと「Any%」「Defeat Ganon - SRM」「No Wrong Warp - SRM」の3つは走れるようになる。

 

 「All Dungeons - SRM」や「100% - SRM」で使われる迷いの森における各種SRMはまた別稿で扱う予定。

|次>

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  • 始める前に
  • Any%
    • ①ファイルネーム入力
    • ②55ルピーを集める
    • ③ロードゾーン跨ぎ~Return A
    • ④Return A後の移動
    • ⑤WWT
    • ⑥カメラロックSRM
      • 譜面
    • ⑦角度調整
    • 補足:Filename LNSRMの別セットアップ/Switch用セットアップ
  • No Wrong WarpSRM
    • 現ルート(Wii VC)「ラをぺろラくy8」
    • 旧ルート(Wii VC)「ラ97ぉ」+年齢SRM
    • 子供リンク+タイトルファイル by LNSRM
  • Defeat Ganon – SRM
    • 現ルート(GC)「ラかゲしラくVど」
    • 旧ルート(Wii VC)「ラかブqラか0ど」
    • 旧旧ルート(Wii VC)「ラ97ぉ」+grotto SRM
  • 100% NSR / アーウィン
  • 付録1:目的別ファイルネーム
  • 付録2:その他のSRMカテゴリとLNSRM
  • 付録3:奇妙なLNSRM

 

*1:Lunge Storage以前の時の扉抜けと同様に、ここの敷居の高さは否定できない。色々出来るようになることをモチベーションに練習してほしい

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時オカ日記①(グリッチ入門編)

 

 

 前回は3万文字にも渡ってアホほど理論面を詳述した。

wagaizumo.hatenablog.com

 

 

 最近故あってWii VC版時オカを貸してもらったので、以下ではもう少し実践的な記事を書きたいと思う。

 筆者は本当に初心者なので残像剣からスタートする。初心者から初心者へ向けたグリッチ/RTAに関する入門記事になったらよい。所詮日記なのでどうなるかは分らないけども。

 

 

 RTA走者を目指していなくてRTAのルートをなぞることで得るものは多いだろう。「緩く通して走れるようになる」というのはグリッチを履修する上での目標設定として丁度良い。*1

ゼルダの伝説 時のオカリナ RTA入門指南書(実践編) - 姫のお茶会

 「GSR」か「No Wrong Warp – No SRM」が初心者用らしい。

 個人的には「All Dungeons - SRM」へ憧れを抱いているのだが、ハイテクすぎて荷が重い。基礎を固めた上でプラクティスROM環境が欲しい。

 Wii VCだから「any%」の現行ルートも走れる。これはやってやれないことは無いんじゃないか。まだ角度調整調べてないから知らんけど。

 

 

  • 2022/1/12 残像剣
  • 2022/1/13 – 1/16 メガサイドホップ/逆滑走/その他
  • 2022/1/17-21 ゲルドメガフリ/時の扉抜け/クイックドロー
  • 2022/1/22 - 23 ESS/WESS
  • 補足①:No Wrong Warp – No SRMについて
  • 補足②:GSRについて

 

*1:一部のバグ(RBAやWrong Warpなど)はときに詰んだりクラッシュしたりするので、そうならないよう設計されているRTAチャートに従った方が安全そうでもある

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【時のオカリナ】時の扉抜け(Door of Time skip / dot skip)に関する勉強ノート

 

 

 時の神殿内でマスターソードへの道を塞ぐ「時の扉」。実は扉の向かって左側だけ僅かな隙間が空いている。ここをすり抜けることで精霊石を一つも取得せずに手早く大人リンクになろう、というのが時の扉抜け(Door of Time skip / dot skip)の主旨。

 非常に基本的なシーケンスブレイクで、SRMが禁止されたカテゴリのRTAならだいたい使うんじゃないだろうか。そして基本的な割に、初心者が数日練習してようやく1回成功するようなセットアップしか最近まで知られていなかった。ルート全体の敷居を高めていたとも言える。

 

 以下では時の扉抜けの方法を並べてみる。まず、1カ月前に開発された出来立てホヤホヤの簡単な扉抜けを紹介する。次に従来の扉抜けを紹介する。従来の方法は難しいが、速く、状況によっては新しい方法で代替不可能で、出てくるテクニックが(おそらく)他でも役立つ。

 

 

[注意]

 本稿はグリッチ初心者が自分用に書いた初心者用の記事です。RTA的な早さより安定(というかとりあえず出来るようになること)を志向しています。また誤りを含むかもしれません。気づいたら適宜修正します。

 「サイドロール」等の基本的な用語、時オカにおけるセットアップの在り方などについては次を参考のこと。

https://sera18171.hatenablog.jp/entry/2020/05/15/200024

https://www.nicovideo.jp/watch/sm25776709

 ここら辺を見て「残像剣ならできるぜ」ぐらいの人ならもうlunge storage法の時の扉抜けに挑めると思います。多分。

 従来の方法はポーズバッファを別のグリッチでしっかり練習していないと厳しいです。それ以外の部分が重いので。

 

 

  • Lunge Storageによる時の扉抜け
    • 突き保存①:盾あり
    • 突き保存②:盾あり
    • 突き保存③:盾なし
    • 扉抜け①:盾あり安定法
    • 扉抜け②:盾なし
  • 従来の時の扉抜け
    • 角度調整①
    • 角度調整②
    • 角度調整③(リカバリ
    • 角度調整④(リカバリ
    • 扉抜けポーズバッファ:剣あり
    • 扉抜けポーズバッファ:剣なし
  • 抜けたあとの戻り方について(練習用)

 

 

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【楽曲雑考】小沢健二 - 飛行する君と僕のために

 

 書いていたらいやに辛辣になった。本稿に誹謗中傷の意図はありません。

 

www.youtube.com

 

 以下にコード採譜がある。

飛行する君と僕のために (歌・作詞・作曲:小沢健二) - ChordWiki : コード譜共有サイト

 

 

 元々2016年のツアー『魔法的』で披露された曲。2017年フジロックでのライブが不法アップロードされている。

Ozawa Kenji 小沢健二 - 飛行する君と僕のために(Fuji Rock 2017) - YouTube

 

 

[コード]

・イントロ(key:G#mとみなす)の「IVm9 - Vm7 - Vm6」。意外性を出すためダイアトニックコードVm7の7thが半音下の6thに落ちる。

・Aメロ(key:G#mとみなす)の進行は「IVm9 - Im9 - bIImaj7 - Im7」で、サブドミナントマイナーとトニックマイナーを繰り返すごく普通の進行である。ここではむしろメロディックなベースラインに着目したい。後半のAmaj7 - G#m7はベースの第一音がルートではなく5th(eとd#)なのである。このせいで採譜に時間がかかった。

・サビ(key:Bとみなす)で「IVmaj7 - IIIm7 - IIIm7(b5)」といくのがアイディアといえばそうかもしれない。IIIm7(b5)でのメロディはb13th(1回目)およびm3rd(2回目)を当てる。

・「重力に~」部分でSteely Danの「Peg」バースや「Deacon Blues」イントロのような進行が出てくる。メロディや普段の語彙を踏まえると作曲段階では「B – F#/A# - A – E/G# - 」のようなトライアドで考えていたのだろう。編曲段階においてキーボードの気持ちよさで「Bmaj7 – F#add9/A# - Amaj7 – Eadd9/G# -」としたように聞こえる。

 

追記:有識者からのコメント。この進行は「Bmaj7 – Bbm7(b13) – Amaj7 – Abm7(b13)」とも思える。同じく『魔法的』で披露された「流動体について」では「Fmaj7 – Em7 – Ebmaj7 – Dm7」が使われている。これはギターオリエンテッドな進行であり、こちらの方向から着想したのではないか、とのこと。

(加えて、復帰後の小沢健二はメロディより先にコードを決めており、それは作曲の硬直化を招きがちである、という話)

 

 

[声]

・5,6年前も急速に声が老いたと思ったが、そこから更に枯れている

・復帰後の小沢健二はもうポップスを歌える声ではない、というのが筆者の持論。しかしこの曲に関しては(現在の声でも)ポップスとして成立している

 

 

[作曲]

・最近の小沢健二にしては作曲がマシだが、これは昔作った曲だから。2021年に作られた他の作品を聞けば分かる通り、今の作曲は商品として流通させてよいレベルではない。

・特に歌詞と譜割りが最悪

・筆者は次のようにも思う:彼はもう音楽(旧譜であれ新譜であれ)をインプットしていないのではないか。だからアウトプットも「あんな風」になってしまう。温故知新も流行もない。音楽的なマイブーム(動き)を感じない。

 

 

[アレンジ]

・今回の録音で文句をつけ得るのは編曲だろう。スネアの音の選択が異常であり、個人的には喰えない。

・全体的に悪いバンドグルーヴ。bpmはもっと落してよい。後半走るのだが、本当に良くない走り方。焦っているように聞こえる

・「シナモン(都市と過程)」と同路線のアレンジ/ミキシング。(R&Bを思い出たのかもしれないが)この曲そんな音の溝を深める必要性ないだろう。ライヴ録音の方が向いてそう

・しかし金が無い。ドラムとミキシング以外自作自演で回っているので、そこを外部委託していたらもっとよくなっていた。何故「飛行する」でなく「ドゥイドゥイ」がA面なんだ。さすがにスタジオミュージシャンが居た。ベースは自演だとしたらうますぎるし、エレピのアドリブソロも手癖であそこまでは弾けない。レコーディング前に打ち合わせ・すり合わせの時間がさほどとれなかった? 

Producer, Associated  Performer, Recording  Arranger, Vocals: 小沢健二

Composer  Lyricist: 小沢健二

 

 

 

[歌詞]

・今回の歌詞で意外だったのが「方角をくれる」。これまで「音楽を焚(く)べる」だと空耳していた

・子供と密輸人のテーマ。ある種の反動主義・逆張り。今の彼がやると唯々「大丈夫じゃない」「これはよくない」という印象を抱かせる。また、2016年といえば最終的にドナルド・トランプが勝つアメリカ大統領選挙が行われたわけで、歴史的含みを後付けせずにはいられない

 

 

[総評]

「飛行する~」の総評ではなく、現在の小沢健二の総評

 

 堀込高樹と全く別の方向性・音楽レベルで中年の悲哀を表現しているといえばそうなのかもしれない。堀込高樹は69年生まれ、小沢健二は68年生まれであり、今の彼らは好対照を為している。笑いで喩えると、高樹は笑わせていて、健二は笑われている。

 しかし後者こそが中年の本質なのだと小沢健二は身をもって示していた……?