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『時のオカリナ』RTAの歴史 part 1:ゼロ年代インターネットとReverse Bottle Adventure

 

1998年にニンテンドー64用ソフトとして発売された『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は、ゼルダシリーズを代表する作品の1つだ。これはまた初期の3Dゲームを代表する傑作の1つであり、そしてスピードランというゲームの遊び方を代表する作品の1つである。

今回はそんな時オカRTAの歴史を最初期から説き起こしてみたい。言うまでもなく、世界記録史・グリッチ史・コミュニティ史が中心となる。時期的にはGlitchlessで最速クリアに7時間かかっていた2003年頃から、Reverse Bottle Adventureというグリッチにより55分クリアが達成された2012年初頭までを扱う。

初期スピードランの特徴として注目したいのは、インターネットにおける動画媒体の普及と深く関わることだ。記録の取り扱い方法によってコミュニティの性質は変わる。

またゼロ年代TAS(Tool-Assisted Speedrun)概念とそれを取り巻くコミュニティが生まれた時代でもあった。TASとRTAは人的交流・技術交流によって刺激を与えあい、記録更新を重ねていく。さらにこの交流はTASとRTAアイデンティティ形成にまで影響したと私は考える。多様な形態が混在していた初期の「スピードラン」(もっと言えば「スーパープレイ」)の中から、互いが互いを別個の存在として認識しあうことで、今日の「TAS」「RTA」概念が取り出されたのだ。

『part 1』に限れば、タイトルは「RTAの歴史」よりも「スピードランの歴史」とした方が実態に近い。

 

今回用いた資料は主に3つある。

英語圏の資料をベースにしたため、記述も英語圏が中心になった。また私は専門家ではないので記述に不足・誤りがある可能性は否定できない。何か間違いがあればご指摘願いたい。

それでも敢えて記事を公開したのは、検索する限り日本語の資料がまるで見つからなかったからである。今後もっと本格的な歴史が編纂されるきっかけとなれば幸いだ。レファレンスブックとして利用される可能性も考慮して、URL引用は多めにしておいた。

 

 

 

 

1998-2005年:揺籃期

1998年に日本・北米・欧州で発売されて以来、『時のオカリナ』は爆発的な人気を集めてきた。2002年には2つのゲームキューブ移植版(裏収録版とゼルダコレクション版)が出ている。

2003年頃、熱狂的な一部のファンにより初めて時オカのスピードランが行われた。記録は6時間45分17秒(by TSA)。純粋なアクションゲームよりずっと時間がかかる上、ゲーム内にスピードランを動機付けるようなシステムはなかった(例えばセーブファイル・エンディングにクリアタイムは表示されない)から、人気ゲームといえど最初期のスピードランコミュニティはごく小規模なものだった。

 

英語圏において最初に時オカRTAを集計したのはTwin Galaxiesだ。Twin Galaxiesは1981年からアーケードゲームのハイスコア記録を集計している有名な団体で、ギネス世界記録の公式ソースにもなっている。2000年代からWebサイトでコンシューマーゲームのやりこみも集計し始めた。そのフォーラムが時オカスピードランナー最初の居住地になったわけだが、以下で述べるように問題も多かった。

Twin Galaxiesの特徴は、記録を審議・認定するために郵送での録画提出を求めたことである*1。ジャッジの仕組みが結構しっかりしているのは、当時から不正がたびたび行われていたことの裏返しだろう。

ただし、記録動画に他の走者がアクセスすることはできなかった。フォーラムやホームページで走者がプレイレポを書かなければ、どのようなストラトを用いて記録を出したかは謎のままだ。

 

1998-2000年頃からユーザー投稿型攻略サイトGameFAQsなどを通じて、時オカに大量のグリッチがあることはよく知られていた。空きビン増殖オカリナアイテム(空きビンでオカリナを吹く)、釣り竿盗み、グラウンドジャンプなどは全てこの「発見者知らず」時代のバグである。

しかしTwin Galaxiesの時オカコミュニティではGlitchlessがメインカテゴリだった。正確に言うと、どのゲームでもGlitchless Any%しかカテゴリがなかった。RTAでのグリッチ利用は不正として忌避される文化だったらしい。……アーケードゲームから始まったTwin Galaxies特有の事情というか、当時から奇妙でバカげていると思われていた節もある*2

一応指摘しておくと、当時のグリッチリストの中には「カセット半差し」(crooked cartridge)を使うバグ──今日のRTAでもほぼ全てのレギュレーションで許されない──が当然のように混ざり込んでいた。グリッチの法的=レギュ的解釈に関する蓄積がない時代にこういったものまで捌くのは大変だったろう。

また通信環境の都合で情報共有がもっぱら文章で行われていたことも考慮すべきかもしれない。「明らかな不正」と「知らないグリッチ」の区別が難しい状況だったのではないか。グリッチのやり方を文章で説明されて再現できなかったとき、「スキルの問題だ」と言われたら水掛け論になる。ならば最初から全員Glitchlessで走るのが公平だ。

使ってよいグリッチをレギュレーションで切り分ける(そしてカテゴリを増やす)発想はTwin Galaxies以後に生まれる*3

 

次はTwin Galaxies時代の最速クリア動画。

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コメント:まず時オカ本来の攻略方法を確認しておく。子供ダンジョンを「デクの樹サマの中 → キングドドンゴの洞窟 → ジャブジャブ様のお腹」と攻略して3つの精霊石を得たあと、マスターソード(と光のメダル)をとって大人になる。続いて大人ダンジョンを「森の神殿 → 炎の神殿 → 水の神殿 → 闇の神殿 → 魂の神殿」と攻略し5つのメダルを得て、光の矢を入手したらラストダンジョン・ガノン城に乗り込む。6つの結界を解除してガノン城を登り、ガノンドロフを倒す。今度は崩壊ガノン城を下ってガノンを倒したらゲームクリア。

上の動画では「炎 → 森」と順序を入れ替えて攻略している。また魂の神殿の初回訪問・子供パートを闇の神殿の前に持ってきている。これらはストーリーの誘導には従っていないが、知識さえあれば容易にできるため当時の基準でもGlitchlessだった。

一方、「森・炎・水 → 闇のノクターン取得 → 闇」および「水(ロングフック) or 闇(ホバーブーツ) → 魂」の順序は守っている。これらを破るものは非自明なシーケンスブレイクと呼べるだろう。次の節で述べる。

 

 

初期のコミュニティで指導的役割を果たしたTSA氏について、最後まで説明義務を果たすべきだろう。

実のところ彼は動画編集による継ぎはぎ(splice)をいくつかのランで行っていた。

2011年にこれらの不正が発覚し、TSA氏はコミュニティから追放処分を受ける。だが彼が最後に投稿した伝説的な5時間切りのラン(上で紹介したもの)に関しては、明らかなspliceが見出せず評価が定まっていない。

 

今は生配信が主流のうえ検証ツールも発達しているので見落としがちだが、「不正」(cheat)ゼロ年代のスピードランにおいて身近*4かつ重要なテーマだった。この「不正」の中には後に花開くさまざまなスピードランの形態が混在している。グリッチは当然Glitchedカテゴリになるし、spliceは次の節で出てくるsegmented runになる。またエミュレーターでプレイしたときの不正はTASに漸近するだろう。

 

 

2005-06年:5 Bossルート

ゲームの種類を問わない大規模記録集計サイトとして、Twin Galaxiesに代わりSpeed Demos Archive(SDA)が勢力を伸ばしていく。動画の提出は郵送かネット上で行い、受理されると他の走者もネット上で視聴できる仕組みが画期的だった*5。スピードランイベントGames Done Quickの主催団体がSDAだったと言えばその影響力の大きさが伝わるだろうか。

さらにYouTubeも普及し始め、バグ報告が1分前後の動画として流通するようになった。

 

ここで、時オカにかぎらず当時一般的だった「segmented run」という人力スピードランの形態に触れておきたい。区間ごとに何回もやり直して最速をつなげたランのことで、本稿では「区間ラン合計」と呼ぶ*6。理論値を追及する点でTASの前形と言えるし、タイマー計測の際にスプリットをとりSum of Bestを表示する文化にも影響しているかもしれない。

Twin Galaxiesはあくまで一発通し(single-segment)の録画を求めていたため、区間ラン合計は不正でしかなかった。しかしその頃から区間ランはsegmentedだという断りの下よく行われていた。

SDAのページを覗いてみると、欧州版のAny%は4時間46分の一発通し(by Kazooie, 2006/11/15)が登録されている一方で、100%の記録は区間ラン合計の6時間35分(by YautjaElder, 2007/7/4)が登録されている。WR Historyに載っている2006-08年のAny%記録もだいたい区間ラン合計だ。当時の通信環境からすると、分割してアップロード・ダウンロードできる区間ラン合計は走る側にも見る側にも適した形態だった。

なお当時の「single-segment」は単なる一発通しではなく、区間ラン合計との区別を意図してセーブ&クイットやデスワ―プが禁止されていた。これを許したものは「save warping」と呼ばれ、投稿自体は可能だった。しかしSDAの時オカページでは例を見ない。

区間ラン合計が消えてRTAに絞られるのは時オカだと2011年のこと。UstreamJustin.tv(どちらも2007年発足)などによる生配信が一般的になり、Youtubeが長時間の動画に耐えるようになり、理論値の追求としてTASが繁栄した頃だ。

 

2005-06年の時オカに話を戻す。この時期重要なシーケンスブレイクが3種類見つかった。Cucco Jump / Gerudo ChildShadow Temple EarlyTrials Skipである。

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「森 → 炎 → 水 → 闇 → 魂」という大人ダンジョンの攻略順は、これらのグリッチによって完全に順不同のフリーシナリオとなった。また光の矢の取得ムービーやガノン城前の橋がかかるムービーは、闇と魂のメダルさえ持っていれば発生することも判明した。

以上をまとめて「子供ダンジョン×3 → マスターソード → 闇・魂・森(弓矢まで)→ 光の矢 → ガノンドロフ」というルートが可能になる。SDAではバグが許される風潮だった──その背景にはおそらく記録動画のネット公開がある*7──ので、この「5 Boss」ルートで一気に世界記録が更新された。

なお、歴史的には人力スピードランよりもTASの方が早く新ルートを取り入れるという意味不明な現象が起きている。人力スピードランが区間ラン合計で行われたためだ。

 

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コメント:驚くべきことにスーパースライドは全体を通して1回しか使わない(闇の神殿でボス鍵を取得した後ホバーブーツ + スーパースライドで対岸に)。バクダンは最終的に15個余るので他の箇所で速度向上に使えたと叩かれている。さらに残像剣・ボムホバーは1回も使わない。とはいえダメージブーストはフル活用するので、爆発物が全く弱いわけでもない。

  • 2:33:12 segmented run by fluffy kitten (2006/10/23):区間ラン合計。この記録はボムホバーを利用している。(計測区間の違いを無視すると)TASに勝ってしまうし、制作手順的にもTASとそこまで変わらない印象を受ける。

 

「5 Boss」というルート名は日本のRTAコミュニティに由来しているらしい*8

 

 

グリッチメモ:残像剣・スーパースライド(逆滑走)・ボムホバー

ZeldaSpeedRunsによると、今日息を吸うように使っているこれらのグリッチが「発見」されたのは2006年6-7月のこと。思ったより遅い。

そう考えると上のTAS(2006年8月)でボムホバーが一切使われていないのは納得できる*9

 

 

2006年:光の矢BA

ここからはメモリを解析しないと理解できないようなテクニカルなグリッチが出現する。この手のグリッチに関してはTASVideos(2003年発足)のフォーラムが強い。

ところで、TASVideosがaviファイルとともに軽量な操作データを頒布していることは注目に値する。わざわざ重い動画ファイルをダウンロードせずとも、操作データを手元のエミュレーターに突っ込んで(理想的には)高画質・長時間のプレイ動画を楽しめるのだ*10

 

時オカ初のTASが発表される直前に遡る。グリッチハンターのAcryte氏がBottle Adventure(BA)を発見した*11

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Bボタンが空きビンの状態で大人→子供→大人と行き来すると、任意のアイテムをBボタンに装備できる。特に光の矢が装備できる。これにより「子供ダンジョン×3 → マスターソード → 森・闇(ホバーブーツまで) → 光の矢BA → ガノンドロフ」という、いわば「4 Boss」ルートが理論上可能になった*12。魂の神殿・闇の神殿(ホバブ以後)という重いダンジョンの攻略をスキップできるため、5 Bossルートより早い。

BAの説明をプレイヤーの操作に限って行うと、「大人リンクで釣竿を盗んでBボタンをデクの棒にし、空きビン増殖でBボタンを空きビンに上書きする。この状態で子供になってC→に魚[/妖精/etc]をセットしながら大人に戻ると、現在のデクの実[/デクの棒/etc]の個数xと対応するID: xのアイテムがBボタンにセットされる」といった具合になる。ここまで複雑なグリッチが2006年に見つかったことは驚きだ。

 

興味深いことに、光の矢BAルートがRTAとして実際に走られることはなかった。釣り竿盗みの方法がまだ初期版限定技しかなく、当時のコミュニティではバージョン依存のバグ技が忌避されたためである。

この風潮は公平性担保の意味合いが強いようだ。初期のWR Historyを見ているとGC版(ポーズ画面の開閉がとても遅い)で走っている人が案外居て驚かされる。バージョン差や言語差(RBAルートだと北米版はテキスト表示だけで6分遅い)も含めた最速が追及され始めるのは2011年前後のこと。

なお釣り竿盗みは2007年9-10月頃に全バージョン共通技が見つかった。

 

 

2007年:折れたゴロン刀RBA

2007年はWii VC版時オカが発売された年である。2010年代以降様々なカテゴリでN64版と並ぶ最速バージョンになる(2024年現在ではメインカテゴリにおいてN64版をすっかり駆逐してしまった)が、その話はひとまずおいておこう。

ここではAny%史においてBottle Adventureより重要な役割を果たしたReverse Bottle Adventure(RBA)を紹介したい。発見は段階的に行われる。

 

最初の兆候はBAの発見から間もなく動画化された。「Bボタンの空きビンに魚を入れたり虫を入れたりすると、C→にセットしたアイテムに応じてインベントリに空きビンが増える」というものだ。

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続いて空きビン以外のアイテム増殖が見つかる(2006年12月以前)*13。「C→に魚をセットしながらBボタンを虫入りビンにすると、虫入りビンのアイテムID: 29に対応してデクの実が29個になる」といった感じだ。

BAはアイテム個数に応じててBボタンのアイテムIDを書き換えるが、RBAはBボタンのアイテムIDに応じてアイテム個数を書き換える。ゆえに「リバース」の名が付いた。

この時期のRBAに関する動画はおそらくない。魚を触媒としたデクの実増殖しか見つかっておらず、役に立たないと判断されたのだろう。今日のRTAでも使われるポウRBA(ボムチュウ増殖)は次の折れたゴロン刀RBAと同時に見つかる。

 

だがRBAにはまだ先があった。ダンジョンのマップ・ボス鍵、各種アップグレード、歌、装備欄、果ては精霊石・メダルまで操作できるのだ。特に折れたゴロン刀を触媒にしてRBAすると闇と魂のメダルが手に入る。

BROKEN GORON SWORD IS THE KEY!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
BROKEN GORON SWORD IS THE KEY!!!!!!!!!
if you equip a fish to Bottle B then.......... 
Oh man......reverse bottle adventure for the win.
It gives you...
Forest Medallion
Shadow Medallion
Spirit Medallion
I am not joking you.

(by Acryte, 2007/4/26)

Ocarina of Time - Page 131 - TASVideos Forum

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5 Bossルートの項で述べたように、闇と魂のメダルさえあれば光の矢を入手してガノンドロフ討伐までたどり着ける。RBAによってもはや大人ダンジョンを一切攻略しない「子供ダンジョン ×3 → マスターソード → わらしべイベント → 折れたゴロン刀RBA → 光の矢 → ガノンドロフ」という「3 Boss」ルートが理論上可能になった。光の矢BAルートよりもさらに早い。

 

だが光の矢BAルートと同様に、この「3 Boss」RBAルートもRTAとして走られなかった。

2007年10月以降のSDAフォーラムを調べてみると、全バージョン釣り竿盗みが報告されてからも皆思い思いに活動しており、Any%更新が喫緊の課題でなかった様子がうかがえる。今日当たり前に使っているトリックがまだ見つかっていないせいで実現に難があったのだろうか? 次々と報告されるグリッチ情報にうずもれたのだろうか? あるいは、区間ラン合計の制作は始まったが、次の大きな波がやってきて没になったのだろうか?

 

グリッチメモ:Megaflip(当時は「Superflip」とも呼ばれた)の発見

 

 

2008-12年:時の扉抜けとRBAルート

コミュニティ史は後回しにして、非常に影響力の大きいグリッチの話をしたい。2008年3月に時の扉抜け(DoT Skip)が見つかる。

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時の扉の向かって左側には微妙に隙間が空いており、良い角度で横跳びすれば抜ける。原理は非常に単純なためBA/RBAより発見が遅かったことは意外だ。だが単純な見た目に反してシーケンスブレイクとしての強力さはBA/RBAに並ぶ。

これで子供ダンジョンを全てスキップして、「時の扉抜け → マスターソード → わらしべイベント → 折れたゴロン刀RBA → 光の矢 → ガノンドロフ」という「0 Boss」ルートが可能になった。このRBAルートが現在のspeedrun.comにおけるNo Wrong Warpの原型になっている。

 

その後の経過を見てみよう。

 

 

グリッチメモ:ESS(Extended Superslide)関連

ESSはスティックを少し倒す(いわゆる「ESSポジション」)ことでSuperslideやMegaflipなどから派生して滑るグリッチ。速度は派生前に劣る。

 

 

さて、この時期のコミュニティ史についてだが……書いているうちに収拾がつかなくなった。ZaldaSpeedRunsの誕生、Twitchの独立、SDAの没落と言及すべきことが多いのだ。この記事もすでに長くなりすぎたから、稿を改めて述べることとしたい。

 

 

 

おわりに

初稿ではうだうだ後書きを書いていたが、3000文字を越えたので分離した。日本の時オカRTAなどについてはこちらを参照。

wagaizumo.hatenablog.com

 

 

 

[本文中に挙げなかった参考資料]

時オカ関連

 

RTAの歴史一般

 

 

*1:それゆえTwin Galaxies期のスピードランは北米ローカルと思ってよい。

*2:2008年の『スーパーメトロイド』スレッドでは「私の知る限り[Twin Galaxiesは]スピードランに少しでも関係があったとは思いません」とボロクソ言われている。『スーパーメトロイド』含め、Twin Galaxiesとは独立にスピードランコミュニティを築き上げたゲームではグリッチが許容される傾向にあった。https://gamefaqs.gamespot.com/boards/588741-super-metroid/44932697  

*3:とはいえGlitchless 100%すらカテゴリとしてなかったのは今日からすると意外である。これは「〇〇の条件を満たした上での最速クリア」がアーケードゲームのやりこみ語彙になかったことが原因だろう。また「何をもってして100%クリアとするか」というレギュ制定の労をTwin Galaxiesが避けたとも考えられる。時オカはクリアタイム同様に「〇〇%」というアイテム取得率も表示されないゲームだ。

*4:次は『マリオ64』の例。These World Record Super Mario 64 Speedrunners Were All Caught Cheating - YouTube 

*5:SDAはもともと『Quake』(1996年)というステージ選択型FPSの記録集積所として1998年に始まった。注目したいのは、『Doom』(1993年)と同様『Quake』には録画を「デモ」(Demo)という軽量の操作ファイルによって出力する機能があったことである。この機能を通じて、『Doom』や『Quake』はTwin Galaxiesに先駆けて90年代後半に巨大なスピードランコミュニティを築き上げた。デモを集め公開するサイトとしてSpeed Demos Archiveは始まったのだから、他のゲームに関しても記録動画を公開するのは自然な方針である。This QUAKE Record Took 17 Years To Beat - YouTube 

*6:タイムアタック」という和製英語で訳出することもある。

*7:SDAが『Quake』の記録集積所として始まったこと、『Quake』スピードランでは初期からバニーホップやストレイフといったFPS定型グリッチが使われていたことも影響しているだろう。

*8:次を参照。ゼルダの伝説 時のオカリナ - ゼルダの伝説シリーズ リアルタイムアタック研究会 - atwiki(アットウィキ)  

*9:追記:私は正直ZeldaSpeedRunsにおけるクレジットの真正性を疑っていた。残像剣くらいはもっと前から誰か見つけていただろうと。しかし日本における「逆滑走」「残像剣」(『ロマサガ2』が元ネタ)の名付けが七空白氏によることが判明した。

私がサイト閉じたのは7年の4月ですが、逆滑走も説明してました。
というより、私がつけた名が今も使われているのはなんか嬉しいですねw

あと、剣からビームは「残像剣」、ボムチュウホバーを「空中浮遊」と呼んだ犯人も私ですw
当初はいちいちアルファベッドで情報交換するより分かりやすいと思ったので便宜上つけただけでしたが、そこそこお気に入りです。
ボムチュウホバーは実際ボムチュウじゃなくても出来ますし。
私はムジュラの低取得品やった時にオクタロックで浮遊した事もありました。

(七空白、2008/7/8)

【バグ】ゼルダの伝説時のオカリナ Superslideの解説 - 太陽6000度で焼いた餅

日本でこれらのバグが輸入品扱いだったならば、ZeldaSpeedRunsにおける「発見」の信憑性はけっこう増す。

*10:TASVideosの仕組みは『Doom』『Quake』のデモ機能に似ている。実のところ「Tool-Assisted Speedrun」という言葉は、1999年の『Doom』デモ集計サイトに由来している。

*11:正確に言うとKazooie氏が以前から原理を発表していたようだ。ZeldaSpeedRunsではKazooie氏にクレジットがある。Acryte氏はBAを再発見し、動画を通じてスピードラン的な有用性を示して、BAを普及させた。

*12:森の神殿は大人と子供の行き来を解放するため攻略する。ホバーブーツは後述する初期版限定釣り竿盗みで必要。またガノン城前の橋スキップにも当時のグリッチ環境では必要。TASVideosのフォーラムで2006年12月にGuanoBowl氏がルートを組んでいる。Ocarina of time - Page 108 - TASVideos Forum 

*13:Acryte氏の投稿から「Reverse」で文字列検索。Posts for Acryte - TASVideos

*14:追記:動画の紹介記事を通じて削除されていることを知った。45万回再生とかなり再生されたTAS。【TAS】ゼルダの伝説 時のオカリナを約55分でクリアする動画が現れる