古い土地

暗い穴

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入沢康夫論2-3:『わが出雲』と世界への帰還の許容(下)

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とりあえず提出するが、後で手直しするかもしれない。今は草稿の全容を見通せない。盲いた唖はその表面を撫でるだけ。 <前| wagaizumo.hatenablog.com 入沢康夫『漂ふ舟 わが地獄くだり』(1994年、思潮社) 浮きつつ遠く永劫の、魂まぎ人が帰ってくる。 帰…

入沢康夫論2-2:『わが出雲』と世界への帰還の許容(中)

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<前| wagaizumo.hatenablog.com 入沢康夫『わが出雲・わが鎮魂』(1968年、思潮社) 幼き日の友。己と瓜二つの友。その「あくがれ出た魂」を鎮めるため出雲の国をさまよった「ぼく」。紆余曲折の末に「小さな光」を「血も/凍るおもいで 両のて/のひらに そ…

入沢康夫論2-1:『わが出雲』と世界への帰還の許容(上)

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入沢康夫『わが出雲・わが鎮魂』(1968年、思潮社) 導入:異説・出雲神話 オペレーション 自注の例 余録1:いくつかの植字的方法 余録2:『わが出雲・わが鎮魂』「あとがき」全文引用 [reference] 導入:異説・出雲神話 この節は以前内々に作ったテキスト…

T.S.エリオット『荒地』の歴史的受容について

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以下の文章は入沢康夫『わが出雲・わが鎮魂』についてのテキストからエリオット『荒地』に関する部分を分離させたものである。独立でも読めるが、重心がそこに寄っていることを注意しておく。 T.S.エリオット(著)岩崎宗治(訳)『荒地』(2010年、岩波書店…

異世界論――「異世界転生」論と「小説家になろう」論のための助走

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以下は「なろう」論をきっかけに書いた8000文字の放棄稿である。論が言語や論理の解体(destruction)の方へと進み、コントロール不能に陥った。論としては成立していないが何らかのオブジェとしては成立していると判断したので、ここに残す。 手が届かない …

入沢康夫論3 – 2:牛の首をめぐるパラノイアックな断章(後編)

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前回から引き続き入沢康夫『牛の首のある三十の情景』(1979年、書肆山田)を読んでいく。 wagaizumo.hatenablog.com [記法] 「牛の首のあるXつの情景( y)」を「X(- y)」と略記することがある。 「「牛の首のある八つの情景」のための八つの下図」は「八…

入沢康夫論3 – 1:牛の首をめぐるパラノイアックな断章(前編)

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入沢康夫『牛の首のある三十の情景』(1979年、書肆山田) 今回は入沢康夫の代表作の一つ『牛の首のある三十の情景』について、極めてパラノイアックな読解を試みる。 『詩の逆説』(1973年、サンリオ出版)で入沢康夫が述べていたように、詩について「愚者…

ステファン・マラルメ雑考:とある入門手続

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ステファン・マラルメって誰? 日本語で読んでみる 岩波文庫『マラルメ詩集』 『マラルメ全集』より 『文学空間』 [その他reference] ステファン・マラルメって誰? 必要なら前段階として次の記事を参照: 2021/11/16-17:ポー/エリザベス・ビショップ/ボード…

2021/11/29, 12/3:入沢康夫『詩の構造についての覚え書』堀江敏幸『おぱらばん』

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2021/11/29 入沢康夫『詩の構造についての覚え書』 入沢康夫『詩の構造についての覚え書』(1968年、思潮社) 試論・評論をいくつか読んで直観したけど、この人めっぽう気さくではないな。詩人入沢康夫に対する断定を避けるなら、実作者ボルヘスに対して作品…

2021/11/25-28:入沢康夫『ネルヴァル覚書』『死者たちの群がる風景』ネルヴァル『火の娘たち』『オーレリア』

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前回から引き続きネルヴァルを読む。 wagaizumo.hatenablog.com 2021/11/25 入沢康夫『ネルヴァル覚書』 入沢康夫『ネルヴァル覚書』(1984年、花神社) 詩人の入沢康夫はネルヴァルの研究者としても知られている。修論(1959年)のテーマもネルヴァルだった…

2021/11/24:野崎歓『異邦の香り――ネルヴァル『東方紀行』論』

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ジェラール・ド・ネルヴァル(Gérard de Nerval)って誰 今回と次回でネルヴァルについての本を読む。簡単に紹介しよう。 ネルヴァル(1808-1855)はフランス大ロマン派(ユゴー、ラマルチーヌなど)に対して小ロマン派とでもいうべき時期の文学者だ。 本人…

2021/11/22-23:入沢康夫『詩の逆説』『宮沢賢治 プリオシン海岸からの報告』『かつて座亜謙什と名乗った人への九連の散文詩』

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wagaizumo.hatenablog.com これの続きとして、入沢康夫の詩論・評論を読む。宮沢賢治との関係から詩作品『かつて座亜謙什と名乗った人への九連の散文詩』について少し論じてみる。 2021/11/22 入沢康夫『詩の逆説』 入沢康夫『詩の逆説』(1973年、サンリオ…

2021/11/16-17:ポー/エリザベス・ビショップ/ボードレール (追記:モダンとポストモダン)

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2021/11/16 ポー / エリザベス・ビショップ ポーの詩を少し読んだ。 エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe:詩の翻訳と解説 筆者の無知を晒すが、不気味と旋律の詩人にして推理小説の創始者エドガー・アラン・ポー(1809-1849)と「草の葉」の英雄ホイッ…

2021/11/15:シェイクスピア / グロテスク・リアリズム

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シェイクスピアのソネットを少し読んだ。 シェイクスピアのソネット Shakespeare's Sonnets Sonnet 018/060/127 の出来が良い。127は菊池成孔が『フランツ・カフカの南アメリカ』で「黒こそ美」と引用しただけのことがある。 154中108を占める(男性の)青年…

入沢康夫論1:導入に代えて――群盲象を撫でる

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詩は「怒り」です。 ――『現代詩体系』「自作を語る」全文 I 韜晦と偽物の詩人、入沢康夫。 神話と構造の詩人、入沢康夫。 メタポエムと母なき子の詩人。入沢康夫。 匿すことによってますます匿された詩人、入沢康夫。 彼女の住所は 四十番の一だつた 所で僕…